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信徳ホールディングスは、香港政府から運航認可が得られなかったジェットスター香港から撤退する方針を発表しました。香港当局は今年6月、香港基本法第134条に準拠していないとして、ジェットスター香港の事業不認可を決定しています。
信徳ホールディングス、中国東方航空、カンタス航空が出資
ジェットスター香港は、信徳ホールディングスと中国東方航空、カンタス航空が出資して設立し、2013年末にも就航を予定して準備を進めてきましたが、認可が得られないため、就航の見通しが立たず延期していました。
運航が開始できない状態が続いたため、昨年8月には、エアバスA320型機3機を売却することで合意。既にリース会社に売却していた3機と合わせ、計6機の売却となりました。
信徳ホールディングスは、出資3社の中で唯一香港を拠点とする企業で、今回の撤退によりジェットスター香港の就航の可能性がなくなることになります。
なおカンタス航空はすでに出資金を償却しており、さらなる投資は行わないと表明。同航空は基礎EBIT(支払金利前税引前利益)とは別に、2,100万オーストラリアドル(約19億円)の影響を受けたとしています。
香港に拠点を置く航空会社は認可に反対
この問題は長い間議論の種となっていました。香港最大のエアライン・キャセイパシフィック航空は、ジェットスター香港はオーストラリアのカンタス航空のフランチャイズで、役員も香港人ではないことなどを指摘。実質的にオーストラリアの会社で、発着枠などの香港の資産が外国から制御されかねないと認可に反対していました。
これを受けジェットスター香港側は、信徳ホールディングスの株式保有比率を51%に引き上げたほか、最高経営責任者を信徳ホールディングスから任命するなど、香港の航空会社としてのアピールしました。
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香港運輸・住宅局は、地元メディアの取材に対し「航空会社は新たに香港の公共の利益に適う企業であること」も審査することになる、加えて出資元や拠点となる国、役員構成なども考慮対象にあるとコメント。さらに香港国際空港の発着枠に余裕がないため、発着枠の確保も容易ではありませんでした。
当局は法的要件を順守していないとして不認可を決定
香港当局が開いた公聴会では、香港を拠点とするキャセイパシフィック航空や、香港ドラゴン航空、香港エクスプレス航空などが、ジェットスター香港への営業認可に相次いで反対を表明。
香港空運牌照局(ATLA)は、ジェットスター香港について、香港で登記した航空会社は主たる営業所を市内に持ち、経営と管理を市内で行うという法的要件を順守していないと指摘し、ジェットスター香港に営業免許を交付しないことを決定しました。
Source:信徳ホールディングス,中国東方航空,カンタス航空