Photo:Fricker – Kenneth Lu
スーツケースや旅行かばんなどに取り付ける「TSAロック」のマスターキー図面が流出し、3Dプリンターで出力することで解錠できることが発覚しました。
一枚の画像からCADデータを作成
「TSAロック」とは、通常アメリカ合衆国で飛行機に搭乗する際、手荷物や預け入れ荷物は透視検査を行います。検査時には施錠は厳禁で、もし施錠してあれば職員が鍵を壊す事が認められています。
ただ、TSAロック機能が装備された荷物、錠前は荷物の持ち主が自分の鍵で施錠してあってもTSA(安全保障省の運輸保安庁)職員が専用の合鍵を使い開ける事ができ、検査後は元通りに施錠されるので、荷物を受け取るまでの間の盗難等のリスクを減らす事が出来る鍵のことです。
今回、TSA職員しか持つ事のできないマスターキーの図面が流出してしまい、問題になっています。
Photo:Fricker – Eagle Creek
発端は、2014年8月にワシントンポストが、TSAの仕事に関する記事を掲載時、マスターキーの画像も載せた事から始まります。
それをロックピッキング愛好家やセキュリティ研究者が、CAD図面にしてコード共有サイトへアップロードし、TwitterやYoutubeで実際に3Dプリンタで出力した合鍵を使い、開錠している動画などが拡散され、今回の問題になっています。
3Dプリンターなどを活用して作った鍵は、実際に解錠に成功しており、11種類あるうちの7種類の鍵が既に作られています。3Dプリンター製の合鍵は出力後に手を加えることなく、1度目のトライで解錠することに成功。なお、出力にかかった時間はわずか5分ほどでした。
カギの底面に「TSA」と書いてあるものを選んだだけで、特定のブランドを意図したわけではなかったので、今回公開されたCADファイルを使えば、ブランドを問わずにTSAロックが解錠できてしまう可能性があります。
今回の件で、物理的なセキュリティは、ただの写真1枚で突破されてしまう危険性があるという事がわかりました。日本からの旅行者も、自身のセキュリティーをもう一度確認する必要がありそうです。
source:インターナショナルビジネスタイムズ